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結露はなぜ起こる?

コラム
暖房の効いた部屋で、アイビ建築のキャラクターアイちゃんが寒さで水滴がつく冬の窓ガラスを不思議そうに見つめているイラスト。部屋のあたたかい空気中の水蒸気が、冷たい窓に触れて水滴(結露)になる様子が描かれている。

結露とは?

 冬の窓ガラスにつく水滴、冷たい飲み物を入れたグラスの外側を伝う雫、冷蔵庫から出した缶ビールについた水滴。お風呂の鏡の曇り、温かいご飯にかけたラップにつく水滴。これらはすべて結露と呼ばれます。空気中に気体として存在していた水(水蒸気)が、冷たいものの表面で水に変わる現象です。

 空気は水蒸気を含むことができますが、いくらでも含めるわけではありません。含むことのできる量には上限があります。そして、その上限は温度によって決まっているのです。具体的な数字で見ると、空気1立方メートルあたりに含むことができる水蒸気の量は、次のようになります。

  • 0℃ … 約4.8g
  • 10℃ … 約9.4g
  • 20℃ … 約17.3g
  • 30℃ … 約30.4g

温度が10℃上がるごとに、上限はおよそ2倍近く増えていきます。この増え方は直線的ではなく、温度が高いほど急になる曲線を描きます。

 このように、上限まで水蒸気を含んだ状態を飽和といい、このとき相対湿度は100%です。この最大の値を飽和水蒸気量といいます。私たちが普段目にする「湿度60%」という表示は、その温度で含める上限に対して実際にどれだけ含んでいるかの割合を示しています。したがって、同じ湿度60%でも、気温が違えば実際の水蒸気の量はまったく違うことが分かります。

結露がなぜ起きるのか?

 では、ここからが本題で、なぜ結露が起きるかの瞬間の話です。今ここにある空気の中に含まれる水蒸気の量は変わらないとして、空気が冷やされていく状況を考えてみてください。徐々に空気の温度は下がっていきますが、水蒸気そのものの量は変わっていません。空気が冷やされていくにしたがって、「ここまでなら水蒸気を含んでいられる」という上限の値が下がっていきます。

 たとえば20℃の空気が1立方メートルあたり10gの水蒸気を含んでいるとします。先ほどのグラフの通り、20℃のときの上限は17.3gですから、後7.3g水蒸気を含む余裕があります。ところが空気が15℃まで冷えていくと上限は12.8g、13℃では11.4g、そして11℃で上限が約10gになり、ちょうど20℃の空気に元々含まれていた水蒸気量に並びます。

 冷えるにつれて余裕は7.3g、2.8g、1.4g……と減っていき、ついにゼロになります。この余裕がなくなった温度が露点温度です。

 ここからさらに1℃でも冷えると、上限は10gを下回りますので、上限を超えている水蒸気は気体のままではいられなくなり、目に見える水の粒として現れてきます。これが結露です。

 言いかえれば、露点温度とは「その空気が、あと何℃冷えたら水が出はじめるか」を示している温度ということです。

結露はなぜ「表面」で起こるのか?

 結露が窓ガラスや壁、グラスの表面で起きるのは、その表面に接した空気だけが局所的に冷やされるからです。部屋全体の空気が20℃であっても、外気に冷やされた窓ガラスの表面が5℃であれば、ガラスに触れた薄い空気の層は5℃まで下がります。露点温度12℃を大きく下回るため、そこで水蒸気があふれて水滴になります。

 同じ部屋の中でも、結露する場所としない場所があります。壁の真ん中は乾いているのに、窓ガラスだけがびしょ濡れ。この違いは、部屋の暖かさではありません。その一点の表面が何℃であるかということだけです。

冷たい飲み物のグラスも、朝の草に降りた露も、冬の窓も、眼鏡の曇りも、原理はすべてこれと同じです。グラスの水滴は、周囲の空気の持っていた水蒸気が冷やされたことによりその空気の露点温度を下回り、結露が起こっているのです。

建築で結露を起こさせないために

 それでは最後に、建築で結露を起こさせないために

 最も効果的なのは、表面温度を露点より高く保つことです。そのために断熱性能を上げれば、冬でも室内側の表面温度は室温に近づきます。特に重要なのが窓で、住宅の熱が最も出入りする場所であり、家の中で一番冷たくなりやすい部位です。ガラスとサッシの性能を上げること(内窓や樹脂サッシの採用など)は、表面温度を引き上げることができます。

 壁の中に熱が伝わりやすい経路があると、そこだけが冷えて結露します。これを熱橋(ヒートブリッジ)といいます。木造で問題になりやすいのは、アルミサッシの枠、コンクリート基礎といった断熱が物理的に途切れている箇所です。断熱は厚さ・性能だけでなく、途切れることなく連続していることが重要です。

 もう一方の数字、露点温度を下げるには、室内の水蒸気の絶対量を減らす方法です。調理・入浴・洗濯・呼吸で発生した水蒸気を確実に屋外へ排出できる計画的な換気が、設計上で重要です。換気が機能していれば露点は下がり、同じ表面温度でも結露しない方向に進みます。この換気計画のロスを少なく機能させるためには、気密も非常に重要です。

 見えない場所の結露、すなわち内部結露への備えも欠かせません。室内側の防湿層で壁の中への水蒸気の侵入を抑え、外壁側には通気層を設けて、入り込んだ水蒸気を外へ排出する層の構成です。この順序が逆になったり、防湿層に隙間があったりすると、壁の内部の冷たい位置で水(内部結露)が生じ、それにより断熱材の性能低下や木部の腐朽を招きます。

 結露は、温度と水蒸気量という2つの条件が重なったときに起こります。窓の水滴は、その2つがいま重なっていることを教えてくれているのでした。