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24時間換気は止めたらどうなる?

コラム
室内換気をしているイラスト。換気扇に向かって矢印が3本あり、左から水蒸気、CO2・匂いのイラストが添えられている。24時間の文字もある。

 冬になると、換気口から冷たい風が入ってくる。換気扇の音が気になる。電気代も気になる。そんな理由で、24時間換気のスイッチを切ってしまった、あるいは給気口を塞いでしまった、という話はよく耳にします。

 では、止めると実際に何が起こるのでしょうか。これは体感では分かりにくい部分です。空気の変化は目に見えないからです。

そもそも24時間換気とは何か

 24時間換気は、住まい手の好意や心がけで付いているものではありません。2003年7月に施行された改正建築基準法によって、原則としてすべての建築物に機械換気設備の設置が義務づけられました。住宅の場合、求められるのは換気回数0.5回/h以上の能力です。

 0.5回/hとは、1時間あたりに、その部屋の容積の半分にあたる量の外気を取り入れる。という意味です。決して多い量ではありません。計算上の最低ラインとして定められた数字です。

 義務化の直接のきっかけは、シックハウス対策でした。1990年代以降、新築や改修をした住宅で体調不良を訴える事例が問題になり、建材から放散されるホルムアルデヒドなどの化学物質が原因のひとつとされました。そこで、建材側の規制(放散等級の表示と使用制限)と、換気設備の設置義務が、セットで導入されたという経緯があります。

 つまり24時間換気は、「室内で何かが発生し続けることを前提に、それを薄め続けるための設備」として設計されています。

止めると起こること

 換気が止まれば、室内で発生したものは外へ出ていきません。これは好き嫌いの話ではなく、単純にそうなります。具体的には、次の3つが室内に留まります。

1. 水蒸気

 調理、入浴、洗濯物の室内干し、そして人の呼吸。生活していれば水蒸気は発生し続けます。換気が止まれば、それは室内に蓄積していきます。

2. 化学物質

 建材や家具から放散される揮発性有機化合物です。現在は規制が進み、最も放散の少ない等級の建材が広く使われていますが、放散量がゼロというわけではありません。等級はあくまで放散速度の上限を定めたものです。また、家具・カーテン・日用品など、建築基準法の規制対象外のものからも放散はあります。

3. 二酸化炭素とにおい

 人が呼吸すれば二酸化炭素が出ます。屋外の濃度はおよそ400ppm台ですが、密閉した室内で人が過ごせば、その濃度は上がっていきます。

 参考までに、オフィスビルなど一定規模以上の建築物を対象とする建築物衛生法では、二酸化炭素濃度を1000ppm以下に保つことが管理基準とされています(この基準は住宅に直接適用されるものではありません)。

結露との関係

 住まいのことでいえば、ここがいちばん影響の出やすい部分かもしれません。

 結露が起きるかどうかは、その面の表面温度と、空気の露点温度のどちらが低いかで決まります。露点温度とは、その空気が冷やされていったとき、含みきれなくなった水蒸気が水滴になりはじめる温度のことです。窓ガラスの表面温度が露点温度を下回れば、そこに水滴がつきます。

 そして露点温度を決めているのは、室内の水蒸気の量です。水蒸気が多いほど露点温度は高くなり、少ないほど低くなります。

 換気が止まり、水蒸気が排出されなくなれば、室内の水蒸気量は増えます。水蒸気量が増えれば、露点温度は上がります。露点温度が上がれば、同じ窓、同じ表面温度でも、結露する側に近づきます。

 断熱性能を上げて表面温度を高くしても、もう一方の数字である露点温度が上がってしまえば、その差は詰まってしまいます。換気は、露点温度のほうを下げておくための仕組みでもあります。

気密性が高い家ほど、影響は大きい

 ここは少し注意が必要なところです。

 隙間の多い家では、機械換気を止めても、壁や建具の隙間から空気がある程度出入りします。一方、気密性を高めた家では、その経路がありません。計画された換気経路が止まれば、空気の入れ替わりはそのぶん少なくなります。

 高気密化と機械換気は、本来セットで考えられているものです。気密は、空気の出入りを「塞ぐ」ためではなく、どこから入れてどこから出すかを設計できる状態にするためのものだからです。片方だけを止めると、設計された流れは成立しなくなります。

 給気口を閉じてしまう場合も同じです。排気ファンが回っていても、入口がなければ、計画どおりの経路では空気が流れません。

止めたくなる理由は、たいてい別のところにある

 冷たい風が入る、音がする、電気代が気になる。どれも実際にある話です。

 ただ、給気口から入る外気が冷たく感じるのは、換気そのものというより、給気口の位置や、入ってきた空気が暖まる前に人に当たっていることが関係している場合があります。消費電力も機種によって幅があり、熱交換型かどうか、モーターの種類によっても変わります。フィルターが目詰まりしていれば、風量が落ちたまま電気だけ使っていることもあります。

 止めてしまう前に、一度ご相談いただければと思います。フィルターの目詰まりや設定の問題であれば、調整で解決できることもあります。

おわりに

 24時間換気は、法律で設置が義務づけられるまで、住宅に標準的に備わっているものではありませんでした。その背景には、実際に健康被害が問題になったという経緯があります。

 換気を止めても、その日のうちに何かが起こるわけではありません。だからこそ、止めたままになりやすい設備でもあります。何のためにあるのかを知っておくと、冬の冷たい風をどう扱うか、考えやすくなるかもしれません。